― 日本人が戸惑い、慣れ、少し羨ましくなる理由 ―
はじめに|「家族」の意味が、日本とまるで違う
台湾人と結婚し、台湾側の家族・親族と関わるようになって、
私がまず感じたのは 「家族の濃度がまったく違う」 ということでした。
日本で言う「家族」は、
多くの場合「夫婦+子ども」という小さな単位を指します。
一方、台湾では
祖父母・親・兄弟姉妹・いとこまで含めた大きな集合体
として「家族」が存在しています。
これは善悪の話ではありません。
ただ、日本人が想像している家族像とは、かなりズレています。
毎週日曜日は「家族が集まる日」が基本
日本と一番違うと感じたのは、
家族が集まる頻度と前提条件 です。
台湾側の家族では、
基本的に 毎週日曜日、祖母の家に親族が集まります。

場所は、台湾様式の家にある 中庭。
椅子を並べ、夜遅くまで、
- 日常の出来事
- 仕事の話
- ときには政治の話題まで
年齢も立場も関係なく、
とにかく「話す」時間が続きます。
日本人の感覚だと、
- 毎週集まるのは多すぎる
- 家族と政治の話は避けたい
- 日曜は休む日では?
と感じる人も多いと思います。
しかし台湾では、
これが 特別なイベントではなく、日常 です。
年長者が最優先という明確な序列
もう一つ大きな違いは、
年長者が絶対的に尊重される文化 です。
家族や親族の中では、
- 年齢が上の人の意見が優先
- 若い世代は自然にアドバイスを受ける
- 「放っておく」という選択肢がほぼない
という構造があります。
日本でも年長者を敬う文化はありますが、
台湾ではそれが より明確で、日常的 です。
人生の選択、仕事、家庭のことまで、
「何か言われる」のが前提。
良く言えば「面倒見がいい」。
悪く言えば「干渉が多い」。
この価値観に慣れるまでは、
日本人にとってはかなり疲れます。
もう一つの代表的な違い|「家族の予定は最優先」
日本では、
- 今日は一人でゆっくりしたい
- 友達と遊びたい
- 何も予定を入れない日がほしい
という感覚は、ごく普通です。
しかし台湾の家族観では、
日曜日に一人で過ごす=少し変わっている
という受け取られ方をします。
特に親族が集まる文化の中では、
- 家族より個人を優先する
- 集まりに参加しない
という選択は、
「理由があるなら仕方ないが、基本は参加するもの」
という位置づけです。
妻自身の家族観も、日本で少しずつ変わった
興味深いのは、
台湾人である妻自身の感じ方です。
日本に住み始める前は、
こうした家族の距離感は 「当たり前」 でした。
しかし日本で暮らす期間が長くなるにつれ、
- 毎週集まるのは少し面倒
- 突然親が家に来ない日本は楽
と感じるように変わってきました。
現在では、
日本の家族との距離感を 「ちょうどいい」 と感じているようです。
台湾では、
双方の両親が突然家を訪ねてくることも珍しくありません。
それと比べると、
日本の「事前連絡あり・適度な距離」は、
精神的にかなり楽だそうです。
お金が絡むと、家族の結束はさらに強まる
台湾の家族観を語る上で、
お金の話は避けられません。
ただし、
ここは日本人が想像する「援助」とは少し違います。
台湾では、
- メンツ(面子)が非常に重要
- 年長者、特に家の長男などが「出したがる」
- 誰が払うかは、立場と年齢で暗黙に決まる
という側面があります。
「助ける」というより、
「役割として引き受ける」 に近い感覚です。
この点は繊細なので、
深く掘り下げると誤解を生みやすいですが、
少なくとも 家族内でお金の話を避ける文化ではない
という点は、日本と大きく異なります。
正直、日本人としてしんどいと感じる点
理解はできます。
文化的背景もわかります。
それでも正直に言えば、
毎週日曜日に親族が集まる生活は負担 です。
台湾側の親族には自営業の人が多く、
休みは基本的に日曜日だけ。
その貴重な休日が、
ほぼ毎週「家族集合日」になる。
- 友達と遊びたい
- 別の予定を入れたい
- 何もせず一人で過ごしたい
こうした欲求は、
台湾的な家族観の中ではやや異端です。
日本人にとっての「個の時間」は、
台湾ではそれほど重視されません。
それでも「これは良い」と思える点
一方で、
台湾の家族観には、日本が失いつつある強さもあります。
それは
親族同士の結束力と助け合い です。
この感覚は、
どこか日本の「昭和的な家族文化」に近いものがあります。
- 困ったら助ける
- 子どもはみんなで育てる
- 家族の問題は家族で解決する
合理性だけでは測れない、
人間的な温かさがあります。
子育てという点では、かなり心強い
特に子育てにおいては、
- 祖父母が積極的に世話をする
- 親族も自然に関わる
- 集まる機会が多いから、いとこ同士も仲が良い
というメリットがあります。
日本では、
- 子育ては親の責任
- 祖父母は「手伝ってくれたらありがたい存在」
という位置づけになりがちですが、
台湾では 最初から戦力 です。
これは、実際に助かる場面が多いと感じます。
台湾の家族観は「重い」が「強い」
台湾人の家族観は、
正直に言えば 重い です。
干渉も多く、
自由度は低く、
一人でいたい人には向きません。
しかし同時に、
非常に強い。
有事のとき、
誰かが困ったとき、
「家族だから助ける」が自然に機能します。
おわりに|どちらが正しいわけでもない
台湾の家族観と日本の家族観。
どちらが正しいという話ではありません。
- 日本は個人が楽
- 台湾は家族が強い
それぞれに、
向き・不向きがあります。
国際結婚では、
相手の文化を「理解する」だけでなく、
どこまで受け入れ、どこで線を引くか
を考えることが大切だと感じています。

